「よし、この辺で良いわね。じゃ、ウルル、新呪文を試すわよ!」 「ハイ、ではいきますよ、――第3の術アク・スプレイド!」 「…」 「…」 「出ないじゃない!」 「出ませんね」 「出ませんねじゃないわよ、ウルル貴方ちゃんと心の力込めてるの!?」 「込めてますよ…そのつもりですが」 「つもりじゃ困るの!もう一度!出るまでやるわよ!」 「判りました…アク・スプレイド!」「アク・スプレイド!」「アク・スプレイド!」「アク・スプレイド!…」 「…ウルル…?」 「いや、私も…真面目にやってますよ、…疲れました…」 「ちょっと他の術をやってみて頂戴」 「はい。アクル!」 「…これは出るわね」 「同じ様に唱えてるんですが。――何か術発動に条件があるんじゃないですか?」 「条件?そんな術あるの?」 「私に訊かれても。…今まで戦った相手はそういう術を持っている様には見えませんでしたが…  何にしろ、これだけやっても出ないんです、何かある筈ですよ」 「…そうね。じゃ、考えましょ!条件、条件…」 「条件…」 「小声で唱えてみて」 「ハ?」 「小声で呪文を唱えてみて!思いついたの全部試すわよ!」 「…アク・スプレイド…」 「外れ。区切りながら!」 「…。ア・ク・ス・プ・レ・イ・ド」 「伸ばして!」 「……。アークースープーレーイードー」 「前の呪文と後ろの呪文の間隔を置いて!」 「………。アク――スプレイド!」 「リズミカルに!」 「…………。ア〜ク♪スプレ〜〜イド♪」(恥ずかしくなってきた) 「きィーーッ!全然出ないじゃない!」 「あのパティ、術の言い方は関係ないと思うんですが…」 「何よじゃあウルルはどうだと思うの!? さっきから私ばっかりじゃない!」 「私には判りません」 「ウルルそれ言えば許されると思ってないでしょうね!何か考えなさい!」 「えーと。呪文は心の力を動力として発動するものですから…必死な時とか」 「ウルル必死になって」 「…どうやって」 「ガッデーーーム!良いからさっさとやるのよ!!」 「ハイハイハイハイ判りました!アッ、アク・スプレイド!」 「出ない!次!」 「というかまずこれがどういう術なのか判ればもう少しどうにかなるかと…」 「それもそうね、じゃあ呪文から判断してみて」 「私に判る筈ないでしょう、魔界でこういう呪文を持った子はいなかったんですか」 「そんなの覚えてる訳ないでしょ!」 「…困ったな」 「私だって困るのよ!こんな状態で敵がきたらどうするの!?」 「アクルとアシルドで乗り切るしかないですね、今までだってそれでやってこられたんだから暫らくは大丈夫じゃないですか」 「あのねウルル、私達が新呪文を覚えたって事は他の子だってそうなのよ?おんなじ様に強くなってるのよ?  たった2つの術でどうやって乗り切るっていうのよ!大体ただでさえウルルは手加減しがちだっていうのに!」 「…すいません」 「謝る前にやるのよ!さ、続き!」 「まだやるんですか」 「当たり前よ、出るまでやるって言ったでしょう!ハイ、次は笑いながら!」 「…、……、…アク・スプレイド♪!」(ヤケクソ) アク・スプレイドがアシルドからの派生技だと気付くのは大分後の事。 ジケルドとかみたいに技の効力に気付くまで暫らく苦労したんじゃないかなと☆ アク・スプレイドって単体では出せない…ですよね?? 検索で迷い込んできた方はhttp://aoisakura.stars.ne.jp/syanze/をアドレスバーに☆